願い【スタッフ・こげら日記】
2023-10-16
久しぶりに支援を再開したご利用者がいる。
学生時代から継続した通学が難しい方であり、
卒業後、作業所も度々欠勤していた。
以前精神状態が悪化したとき、
自力での排泄が難しくなり、
さらには摂食障害までなってしまった。
もともと食べることが大好きだったのに。
命を保つために、一時的に入院生活されたこともあった。
約2年ぶりのガイドだ。
事前にキャンセルになるのではないかと直前まで心配していたが、
当日、ご自宅から現れた彼女の姿を見られて、ほっとした。
相変わらず少し人見知りがある。
彼女は私の顔を見てにこっと笑い、すぐ下に向いて
「こんにちは、お久しぶりです」とあいさつをしてくれた。
バスの時間を合わせて、家を後にする。
一時期は歩くことすらも大変だった彼女だったが、
今は杖を持ちながらご自身のペースで歩かれていた。
杖がなくても歩けるようだが、
安心材料として移動のときは常に持っているそうだ。
本日の行き先はドラム教室。
もともと自立度の高い彼女は、教室までのルートを十分に把握されている。
彼女の先導で、私が後ろについて行くかたちで移動する。
ドラムの練習は約1時間。
彼女はドラムスティックを使い、
音楽のリズムに合わせて上手に叩き続けた。
ビートが生み出されては消えていく。
彼女の様々な感情が、刻まれているように感じた。
後方で見守っていた私は、
その元気な姿にかつての面影を感じた。
これからもこのままで元気な毎日を送れるよう
何度も何度も願った。
練習を終えた彼女は、満足しそうな表情だった。
「疲れた。でも楽しかった」
とのことだった。
帰りの道
彼女は「また(私の名前)さんと一緒にお風呂に行きたい」と言った。
「是非、また一緒に出掛けましょうね」と私が答えると、
彼女は笑顔をで応えてくれた。
彼女の人生において、
ガイドヘルプの役割は決して大きくないかもしれない。
それでも彼女の力に少しでもなれるのなら
こうして支援を続けていければ良いなと思う。
(Michel)